身体検査が終わったら次は精密検査、つまり工具を用いてバラし、中を見てみます。
このカメラ、多くの方が指摘している通り実にシンプルなつくりをしています。レンズがついている前板(心臓部)はネジを4本外すだけでパカッと外れます。両レンズは裏側から固定しているリングを外すと取り外せます。写真はビューレンズを外したところです。
周囲が歯車になっているリングは、側面のイモネジ3個で固定されています。このイモネジが固着してうまく外れない個体が多いみたいですが、私のは大丈夫でした。
下の写真は、取り外したビューレンズです。
この写真はヘリコイドを少し抜いた状態ですが、ヘリコイドの固着を緩めるのに往生しました。ヘリコイド内外の隙間に無水エタノールをスポイトで流し込んでしばらく放置。飴ゴムシートでつかんでひねる。動かない。再度無水エタノールを流し込んで放置。これを3回くらい繰り返してようやく緩みました。上の写真の通り、固まったグリスでヘリコイド溝が埋まっています。
でも外れてしまえばこっちのもの。爪楊枝の先を削って尖らせてグリスを掻き出し、無水エタノール、毛先の細い歯ブラシ、レンズペーパーでキレイにしたのがこちら。あぁすっきりした。
レンズを外して軽く拭いてみたら、ないと思っていたカビがありました。
さて、皆さんカビはどうやって落としているんだろう、とネットで調べてみました。すごいですねぇ、なんでもアリって感じです。
無水エタノール、レンズクリーニング液を使うなんてのは正統派として、台所洗剤、シェービングフォーム、カビキラー、オキシドール、アンモニア水、アルカリ電解液に無リン酸洗浄液、さらにはメラミンスポンジで擦り落とすなんて方もいらっしゃいました。
幸い私の場合は、無水エタノールで落とすことができました。キレイにして組み上げたレンズがこちらです。
テイクレンズも同じ要領で取り外し、ヘリコイドも同じやり方で緩めることができました。
でも、おねじ側のヘリコイドが外側のリング(周囲歯車)にハマったままです(上写真)。この状態でヘリコイド加工ができるわけはないので、絶対に外れるはず、と前面側からゴム栓でグイッと押したら抜けました。
ヘリコイドを抜いてみたら、グリスの固着がひどいものです。こちらもビューレンズと同様に清掃します(上がBefore、下がAfter)。
シャッター・絞りユニットは全く問題なく動作するので汚れ落としだけ。水に濡らして固く絞ったメラミンスポンジで金属部分を磨きます。写真はBefore(左)&After(右)です。
レンズ取り付けパネルの裏側は、何故かテイクレンズ側に反射防止の黒塗装が施されていないので、手持ちのつや消し黒塗料をペタペタ塗りました。
レンズを清掃し、心臓部を仮組みしたところです。あとはフォーカス調整を行うのみ。
ふう、治療の最大の山を超えました。