先日、なけなしのヘソクリをはたいて落札した70年物のローライフレックス。
おっかなびっくり分解して気になるところを手直しし、お化粧直しも施して美品(手前味噌ですが)として復活しました。備忘録を兼ねて修復経過をご紹介しようと思います。
いろいろな方がブログ等で書いておられる通り、前面貼革の下にある4本のネジを外すとフロントカバーは簡単に外れました。貼革はエタノールでキレイに剥がれてくれました。
シャッタボタンからケーブルレリーズ用のピンが抜け落ちるので、サラサラのオイルをごく少量つけて抜けないようにしておきます。
ところで、カメラを分解していて背筋が凍ることが三つあります。ひとつめ。何かを外したときにポロリと部品が落ちる(どこについていた部品だかわからない)。ふたつめ。ピンセットで挟んだ部品が「パチッ」と弾けて飛んでしまう。最後は、ネジ頭の溝をナメてしまった(あるいはネジ頭がもげてしまった)ときです。どれもリカバリーが大変ですね。
さて、メカ的に直したいのはシャッターボタンの動きです。シャッターボタンの円筒部分をエタノールで拭いたら動きがスムーズになりました。本体側はリンク機構になっていて、動きの滑らかさがイマイチ。バラして清掃すれば良くなるのはわかっているのですが、深入りしないことにします。
「ローライフレックスの時間(藤田一咲著、枻文庫)」という本に「古いローライフレックスは実は振動に弱い。ちょっとした振動で絞りダイヤルの調整ピンの位置がずれる」という記述があります。落札品が手元に届いた後に読んだので、ハズレの買い物だったかなぁと気になっておりました。でも、分解してみて、はぁ、このことか、と合点がいき、ちょっと安心しました。機構としてはこんな感じになっています。
本体側のテイクレンズ外周に絞りを開閉するレバーがあります。部品としては板金加工した爪ですね(下写真左の青丸)。これが「ローライフレックスの時間」に書かれている「絞りダイヤルの調整ピン」だと思います。この爪がフロントカバー裏側の角穴(下写真右の青四角)に嵌って絞りダイヤルの動きを絞りに伝えています。爪と角穴の引っ掛かりがわずかであればちょっとした振動で外れるということもあるかもしれませんし、実際に起きたこともあるのでしょう。でも、丁寧に扱えば持ち運びくらいの振動は大丈夫だと思います。Made in Germanyを信じます。
ちなみに、シャッター速度は、フロントカバー側のピン(上写真右の赤丸)が本体側のスリット(上写真左の赤四角)に嵌って制御されるようになっています。
さて、気になるところを直したので、元通りにしようとしてフロントカバーをかぶせたらピタリとハマりません。グラグラします。よく観察したら、絞りの爪かシャッターのピン(または両方)がうまくハマっていないようです。組付け時にはこれらの嵌合を直に見ることができないので、少しずつ位置をずらしながら試行錯誤。1時間位かかってようやくピタリとハマりました。ネジ止めして貼革を接着して完了です。
ところで、フロントカバーと本体の間にはスペーサーが入っていました。フロントカバー組付けにあたっては、光軸やフォーカスのようにスペーサーによる微調整が必要なところはなさそうです。シャッタースピードと絞りの変更を行うメカは組み込まれていますが、単なるフタです。何のためのスペーサーなんだろう?謎です。
ファインダーも清掃します。ファインダー上部を外すとミラーが現れます。ゴミだらけ。ブロワーで吹いてエタノールで清掃しました。フォーカススクリーンも同様に清掃します。左がBefore、右がAfterです(以下同じ)。
さて、あとはお化粧直しです。
一番気になっていたのは貼革の変色。レザークラフトで使用する染料と仕上げ剤で処理しました。貼革が本革なのか人造皮革なのかはわかりませんが、まあいいでしょう。自己責任です。
ダイヤル文字に墨入れ。
ストラップ取付部のスレもシルバーを塗って修復。「MADE IN GERMANY」に墨(白)入れしたのもわかっていただけるでしょうか。
正面上部の塗装剥げ部分をタッチアップ。
レンズカバーのメッキ剥げは塗装で修復。メッキの再生は難度が高いので塗装で代用です。
最後は、顔ともいうべき銘版です。黒ずんでいたので金属磨きで磨きました。
ピッカピカ~。
仕上げはストラップです。幅25mmの牛革平紐で自作しました。
完成で~す!
でも梅雨入りしてしまいましたね。今度の週末も雨模様。晴れ間のぞかないかなぁ....。