昔、会社の同僚からいただいた古いレンズをレストアしました。ブツはカールツァイス イエナのトリオター 135mm F4、M42マウント。1950年前後に製造されていたようですね。
手を入れた箇所はレンズ清掃とヘリコイドグリスの入替え、そして外観汚れ落としです。
早速バラしてみましょう、と改めて外観を眺めるとどこにもネジが見当たりません。あれ?
ぐるりと一周見渡してもどこにもありません。どうやってバラすんだろう?
ネットを検索してもこんなレンズのレストア記事など見当たりません。ダメ元で海外情報を探してみたら、YouTubeにありました。
このレンズ、後ろから覗くと太いカニ目溝が見えます。
これを回すんですね。でもこんな奥深いところにある太いカニ目溝にかませる工具などありません。さて、どうしよう。
あれこれ考えて作ったのがこれ。
3mmネジの長いやつを切断して両端を平ら(裏表)に削りました。これをカニメ溝にはめ込んでプライヤで挟んでエイッ!
外れました。
フォーカシングユニット(右の黒いやつ)を前から見るとネジが見える(↓)ので、等間隔の3本を外すと、ヘリコイドを取り外すことができます。
バラバラになりました。
ヘリコイドは2重になっていない単純なもの。グリスは一応粘度を保っていましたが、製造当時のものではないでしょうね。洗剤とアルコールできれいにします。
グリスを塗って組み直します。それにしてもこのヘリコイド、すごい条数ですね。
レンズは難なくバラせるので、レンズを外して清掃します。トリプレットなのでレンズは3枚しかありません。
絞りリングが腐食して汚いので、柔らかいワイヤブラシでガシガシ磨きます。細かな傷がつくのは気にしない。
きれいになりました。
ワイヤブラシでF値目盛りの塗料も取れてしまったので墨入れをし直します。
化粧リングも文字がかすれていたので塗り直して、最後はフォーカシングユニットを組み立てておしまいです。
ヘリコイドのところは、回転方向の位置と光軸方向の位置をうまく合わせないと無限遠が出ないので、仮組みしてカメラにつけて遠くを眺め、ダメならやり直しを何度か繰り返しました。
できたぁ!
ネットで目にする「Carl Zeiss Jena Triotar 135mm F4」は、全体が無垢アルミのものばかり。まるでサーモカップです。私の個体のような黒アルマイト仕上げは見たことがありません。レア物なのでしょうか。
この当時の長焦点レンズは、今どきのレンズには見られないひょろ長い形をしていますね。カメラに取り付けたら天狗の鼻みたいになりました。
さて、どこへ何を撮りに行こうかな。