さーさるの独り言

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廃棄の淵から蘇った相棒

ペリカン スーベレーン(Souverän)600。購入したのはかれこれ四半世紀も前のこと。仕事に私用に活躍してくれた良き相棒です。
数年前、使っているとなんだか引っかかりを感じ、よく見たら、なんと軸が割れている! もうダメかぁ、と諦めかけたのですが、陶器の金継ぎみたいに直せないものかとダメ元で挑戦してみることにしました。数ヶ月の悪戦苦闘の日々を経て蘇った姿がこれ。

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修復の手始めは釣具用の金漆。割れた隙間に塗り込んでみたところ、隙間に浸透してしまって全然埋まらない。そもそも完全に固まってくれない。埋めた漆を削り取り、温度や湿度を変えて試してみる、の繰り返し。てもぜんぜんうまくいかない。さあどうしよう。

結局落ち着いたのはエポキシ。普通のエポキシ接着剤に金漆の金粉を混ぜて塗り込めてみました。エポキシなので普通に硬化します。その後は耐水ペーパーで盛り上がった部分を平らにし、コンパウンドでひたすら磨きました。

ペリカンの万年筆(他は知らないけど)は、ニブを左に回すと外れるので、外したニブとペン軸をドボンとお湯に漬け置きで洗浄していました。
無知というのは恐ろしいもので、スーベレーンの縞々の軸(セルロースアセテート製だそうです)は水に長く漬けてはいけないんですね。膨張したり割れたりするのだとか。ペリカンの公式サイトにも「ストライプ部分を水に浸け置きしないようご注意下さい」って書いてありました。

修復相成った我がスーベレーンは、これ以上ダメージを与えたくないので、一線から退いてもらい、純正ブルーブラックインクに入れ替え(それまではカーボンブラック)、インクが固まらないくらいの頻度で現役復帰させています。

 


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