さーさるの独り言

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モケイとホンモノそっくりさん

ほんとはモケイとホンモノシリーズの新作にしたかったんですけど、実機じゃないので番外にしました。

モケイです。

日本陸軍一式戦闘機「隼」。開発名称キ43。連合国コードネームOscar。製造は中島飛行機。設計主務者は小山悌(やすし)。

モケイはハセガワ1/72、隼Ⅱ型。飛行第50戦隊第3中隊穴吹軍曹乗機です。缶スプレーの銀をぶわぁーっと吹いた後、ちぎったスポンジで緑をポンポンと。プロペラは間違って黒を塗ってしまいました(ほんとは茶色)。

ホンモノそっくりさんがこちら。

2022年11月、鹿児島県知覧の特攻平和会館での撮影です。2007年公開の映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」(脚本・製作総指揮 石原慎太郎)のために2機製作されたⅢ型甲のレプリカ。もう1機は特攻平和会館内に展示されていて、そちらは撮影禁止。プロペラやキャノピー等の形状がちょっと違うように思いますが、とても良くできています。

ところで、小山技師の手による戦闘機は、主翼前縁が機軸に対して直角であることが最大の特徴です。調べてみたら、初期の九七戦(キ27)、一式戦隼(キ43)、二式戦鍾馗(キ44)、四式戦疾風(キ84)そして小山技師が設計から退いた後のキ87、特攻兵器として悪名高いキ115 剣に到るまですべてこの特徴を備えています。

佐貫亦男センセがその理由を小山悌ご本人に聞いたところ、「主翼上面の翼端方向への流れが止められる」(発想の航空史、朝日文庫)、「翼上面後部で翼端から付け根に向かって流れる速度を形成して剥離を止め、翼端失速を防いで補助翼の利きを保つため」(続々・飛べヒコーキ、光人社NF文庫)ということなんだそうです。CFDで流れを可視化したらどんなふうに見えるんでしょうね。興味あります。

余談ですが、戦前から第2次大戦にかけて、日本の名機を手がけた設計者は軒並み東京帝大航空学科の出身でした。木村秀政(航研機)、堀越二郎零戦雷電、烈風)、本庄季郎(一式陸攻)、土居武夫(飛燕)、菊原静男二式大艇紫電改)などみなそうです。この方達の多くが後の国産旅客機YS-11の開発に大きな役割を果たすことになります。

対して小山悌は東北帝大の機械学科出身。航空機の名設計者でありながら、戦後は航空機はもとより自動車や鉄道などの産業にかかわることを拒み続け、林業に打ち込んで農学博士となった変わり種です。メディアへの露出を嫌い、自ら設計した航空機について語ることはほとんどなかったそうな。

その半生は小説「銀翼のアルチザン 中島飛行機技師長・小山悌物語」(長島芳明著、角川書店)でうかがい知ることができます。

 


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