さーさるの独り言

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スプルース・グース

何気なく立ち寄った展示館で度肝を抜かれました。

淡い光に照らされて闇に浮かび上がる巨大な飛行機。飛行気好きとはいえ、こんな飛行機の存在などつゆ知らず、デカい飛行機といえばボーイングB747ロッキードC-5しか知らなかった目には衝撃でした。

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ヒューズH-4ハーキュリーズ、通称スプルース・グース。ディカプリオ主演の映画「アビエーター」(2004年)をご覧になった方は映画に出てくる巨大飛行艇を覚えていらっしゃるかもしれません。アレです。
絵の元になった写真は1988年2月に撮ったもの。デカすぎてプリント4枚を継ぎ貼りしてあります。場所はロサンゼルス南のロングビーチ。係留展示されてホテルとしても使われている豪華客船クイーン・メリー脇の展示施設で見ることができました。

その翼幅97.51mは、2019年に空中発射ロケットの母機「スケールド・コンポジッツ・ストラトローンチ」(翼幅117.35m)が登場するまでは世界最大(翼幅で)の航空機だったそうです。ちなみに、ジャンボジェトは最新型のB747-8で68.5m、ロッキードC-5は改良型のC-5Bで67.89m。巨人機としてよく紹介されるアントノフAn-225ムリーヤですら88.74 mです。

エンジンはプラット&ホイットニーR-4360ワスプ・メジャー。空冷星型4列28気筒、総排気量71.49リットルという化け物です。これを8発。B29のエンジン、ライトR-3350の空冷星型複列18気筒、総排気量54.9リットル、零戦のエンジン、栄21型の空冷星型複列14気筒、総排気量27.9リットルなどと比べるとその大きさがわかります。

このスプルース・グース、桁外れにデカい飛行機なのに、通称のスプルース(トウヒ)が示すとおり木製です。この巨大機1機で戦闘機100機分のアルミが必要とされたので、金属の使用が認められなかったからといいます。

スプルースはギター好きにはおなじみの材料ですね。アコースティックギターの表面板に使われる木材です。機体名称にはスプルースとついていますが、実際にはバーチ(カンバ)が主に用いられたのだとか。

初飛行は第二次大戦後の1947年11月2日。3度目の滑水テストで離水し、高度25メートルで1マイルほど飛行したのが初で最後。その後のテスト飛行は計画のみで実施されず、長らくヒューズで保管された後、1982年からクイーン・メリーとともに展示されています。

もう一度見たいと思って後に訪れたときには展示施設は閉鎖されていました。2001年以降はオレゴンエバーグリーン航空博物館で余生を過ごしています。同博物館で撮影された写真を見ると、光あふれる館内に展示されているようですが、ロングビーチでの、暗い中に浮かび上がる巨人機という展示のほうが好きだなぁ。

知ったかぶりのウンチクはWikipediaによりました。

 


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