さーさるの独り言

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ショットガンズーム

今はこんな言葉はないんですね。ググっても出てこないし、Chat GPTに「ショットガンズームって何ですか?」って聞いてみたら「ショットガンズームという用語については私のデータベースには情報がありません」と返ってきました。

直進式のズームレンズのことを昔こう呼ぶことがありました(私だけってことはないと思うけど)。オートフォーカスなんてない頃は、ズーミングとフォーカシングを同時に行えるこの方式がとても合理的でした。

この方式のズームレンズにハマったのはフジフイルムのFUJICA AZ-1という一眼レフ。このカメラはズームレンズ(FUJINON Z 43-75mm F3.5-4.5)が標準装備で、これが直進式ズームだったのです。

AZ-1を使っていた頃、憧れていたズームレンズがありました。Zoom Nikkor 43-86mm F3.5です。日本初の標準ズーム。何に憧れていたかというと、被写界深度を表す指標(通称ヒゲ)です。AZ-1のズームレンズは、いくつかの焦点距離被写界深度を示す目盛りがついているだけでまるで色気なし(実用上はこれで全く問題ないんですけど)。

対してNikkorの方は、F値ごとに異なる色で墨入れ(彩色)された優美な曲線群。これがなんとも美しくほれぼれします。眺めて楽しめるレンズです。小型化、低価格化のためにレンズ枚数を抑えたためか、性能はいまいち。でも改良を繰り返して20年近く生産されたんだそうです。詳しくは「ニッコール千夜一夜物語 第四夜 」(下記)で語られています。

ところで、ご承知の通りズームレンズは鏡胴内で複数のレンズ群が別々に動きます。この動きを可能にしているのが円筒カム。その加工には数値制御の工作機械(NC加工機)が必要です。このレンズが発売されたのは1963年。 この当時、NC加工なんてできたんだろうかと、ふと気になりました。上記「ニッコール千夜一夜物語」には、「高精度の加工が非常に大変であった」としか書かれていません。

調べてみたら、日本初のNCフライスは1958年、同じく日本初のマシニングセンタは1961年に登場したようなので、円筒カムの加工に必要な同時2軸制御の工作機械はあったんでしょう。ちなみに、ヒゲもNC加工でしょうね。このヒゲ、コストダウンのためか、製造番号の大きい(製造末期の)ものはヒゲ本数が少なくなっています(12本から8本)。

さて、Nikonの名レンズの一つに数えられるこのレンズ、ネットで検索すると、性能に関してはクソミソな評価が多い反面、クセ(味)のある写りに魅力を感じている方も少なくないようです。製造数が多いので中古市場にはたくさん出回っているのに加え、性能がイマイチのせいか人気がありません。つまり激安です。オークションサイトで40年以上昔のレンズとは思えないほどキレイかつ動作もスムーズな後期型(Aiタイプ)が¥1,800(送料込)で入手できました。

ヒゲです。

Dfにつけてみたらなんかカッコいい(完全に自己満足😅)。

フードはNikon純正HN-3の中華製コピー。レンズより高かった!

Dfにつけて撮りたいレンズが少しずつ増えてきました。早く猛暑が治まらないかな。

 


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Header Background image by nhaataja from Pixabay. Thanks for the great image.